近年、薄毛が気になる人が男女問わず増えています。薄毛対策として、育毛剤やシャンプー・コンディショナーに気を使うことは、とても良いことですが、健康な髪の毛を育てるためには、食事にも気をつける必要があります。
髪の毛は、体と同じく食べたもので出来ています。食事からできた血液を毛根から吸収して成長します。
この記事では、コシのある艶やかな髪の毛を保ち、育てるために必要な食べ物を紹介しています。
目次
髪の毛の構造
髪の毛に良い食べ物を解説する前に、髪の毛の構造を簡単に説明します。
毛髪は、3層構造になっていて、主にケラチンというタンパク質でできています。
・外側 - キューティクル(毛小皮)
ケラチンとよばれる無色透明のタンパク質でできています。毛先に向かってうろこ状に重なりあい、内側のタンパク質や水分を漏らさない役目をしています。
乾燥と摩擦に弱いです。
・真ん中- コルテックス(毛皮質)
毛髪の大部分を占めます。毛髪の色を決定するメラニンを含みます。
毛髪の柔らかさ、しなやかさなどに影響する部分です。
・内側 - メデュラ(毛髄質)
細い軟毛、産毛、生後1年くらいまでの乳幼児の毛、白人などの細い毛にはほとんど存在しないと言われています。
毛髪の成長の仕組み
毛髪は、血液から成長に必要な栄養素を吸収しています。
- 毛細血管が、毛乳頭に入り込みます。
- 毛母細胞は、毛乳頭から栄養素を供給されて分裂を繰り返すことで毛髪が形成されます。
毛髪の成長には、血液が必要です。頭皮が硬い場合は、血管を圧迫し血流不足となりやすく、毛髪に十分な血液が供給されづらくなります。
薄毛予防、薄毛対策で食べるべき食材・栄養素
髪の毛の成長には、髪の毛を作る元となる成分であるタンパク質・ミネラル・ビタミンが必要となります。
健康維持の基本は、さまざまな食材・栄養素をバランス良く取ることが必要です。
タンパク質
タンパク質は、炭水化物、脂質と共に三大栄養素の1つです。
動物性(肉、魚、卵など)と植物性(大豆や小麦など)があります。
体に必要なタンパク質ですが、ダイエットを気にする女性にとって、特にお肉などは、脂質やカロリーを気にして敬遠しがちかもしれません。タンパク質の摂取量が減ると筋肉が減ってしまい、かえって太りやすい体質になってしまいます。ダイエット中でも、体重1kgあたりタンパク質1gを目安に取るように心掛けましょう。脂質が気になる場合は、動物性タンパク質の一部を大豆など植物性タンパク質に置き換えることでタンパク質不足を補うことができます。
【特徴】
〇動物性タンパク質
必須アミノ酸(※)が植物性タンパク質よりも多い⇒効率良く体の組織を作ることができる
消化吸収が早い
脂肪が多い
〇植物性タンパク質
食物繊維が豊富
低脂肪
消化吸収に動物性タンパク質よりも時間がかかる
(※)必須アミノ酸
動物が生命を維持するために必要なアミノ酸。体内で合成しづらいため食事から取る必要があります。現時点では、9種類あると言われています。
効果・効能
髪の毛の主な成分は、ケラチンタンパク質であり、タンパク質は欠かせない栄養素です。
骨、筋肉、臓器、血液、皮膚、髪の毛など人体組織を作る材料となります。
代表的な食材
肉類、魚類、卵
豆類
穀類
摂取量目安:体重(kg)×1~2g
💡ワンポイント
タンパク質は、腎臓で処理されて不要なものは老廃物として尿中に排出されます。タンパク質を取り過ぎると老廃物が増えて腎臓に負担がかかるので、腎臓病がある人はタンパク質の取り過ぎに注意が必要です。
亜鉛(ミネラル)
亜鉛は、体内で生成されない「必須ミネラル」です。
食べ物から摂取された亜鉛は、体内に約2mgほど存在すると言われています。
効果・効能
髪の毛の主成分であるタンパク質を効率よく利用するために必要な栄養素です。
肌の再生・代謝、コラーゲン合成
皮膚炎、ニキビの予防など
代表的な食材
豚レバー、赤身肉
牡蠣、カツオ
小麦など
💡ワンポイント
亜鉛は、小腸で吸収されますが、吸収率は30%程しかないので、吸収率を上げるために「肉・魚などの動物性タンパク質、クエン酸、ビタミンC」と一緒に取ると吸収率が上がるのでお勧めです。
鉄(ミネラル)
鉄は、赤血球に含まれるヘモグロビンに3~5gほど存在するミネラルです。
効果・効能
ヘモグロビンに含まれる鉄が、肺で取り込まれた酸素と結合して体内に酸素を送り届けます。
タンパク質や糖質を効率よくエネルギーに変換する代謝作用や筋収縮、活性酸素の除去等に関わっています。
代表的な食材
こんにゃく、あおのり、鮎、ひじき、うなぎ、あさりなど。
💡ワンポイント
鉄の種類は、2つ。
①ヘム鉄
動物性(牛、豚、鶏およびレバーなど)、魚類
吸収率15~25%(※)
②非ヘム鉄
植物性(あおのり、芋類、ひじき、小松菜、枝豆など)
吸収率2~5%(※)
非ヘム鉄でも、タンパク質やビタミンCと一緒に取ると吸収率が上がるのでお勧めです。
(※)吸収率は諸説ありますが、ヘム鉄の方が吸収率が高いことは統一見解となっています。
厚生労働省eJIM | 鉄 | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト (ncgg.go.jp)
ビタミンA(脂溶性)
ビタミンAは、油に溶けやすい脂溶性ビタミンの1つ。
ビタミンAは、美容に興味がある方なら聞いたことがある「レチノール、レチナール、レチノイン酸」の総称です。
効果・効能
皮膚・粘膜を守る
肌や目の健康を維持する
代表的な食材
豚レバー、鶏レバー、うなぎ、卵黄
ニンジン、ほうれん草など
💡ワンポイント
ビタミンAは、脂溶性ですので、炒め物、揚げ物、ドレッシングなど油を使った料理がお勧めです。
ビタミンB群(水溶性)
ビタミンB群とは、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を指します。水溶性ビタミンは、水に溶けやすい性質があるため、一度にたくさん摂取したとしても尿中に排出されます。
ただし、過剰摂取した場合、B6は「しびれ、脱力など」が、ナイアシンは「消化器系障害、肝機能障害など」が、葉酸は、「発熱、じんましん、呼吸障害など」が生じることもあるので取り過ぎには注意が必要です。
効果・効能
新陳代謝の機能アップ、皮膚や粘膜を健やかに保つ作用があります。
糖質、脂質、たんぱく質などは、体のエネルギー源や体の構成成分となりますが、ビタミンB群は、これらの働きを円滑にする役割を担っています。
代表的な食材
豚肉、うなぎ、納豆、カツオ、マグロ、ごま、玄米、アーモンド、アボカド
💡ワンポイント
ビタミンB群は、水溶性ビタミンですので、体の中に留めておくことができないので、こまめに取ることがお勧めです。
また、ビタミンB群は互いに関係しあって効果を発揮するので、どれか1つのビタミンBを摂取するのではなく、マルチビタミンなどのようにまとめて取るのが理想です。
ビタミンC(水溶性)
ビタミンCは、水溶性ビタミンです。
効果・効能
ビタミンCは、アンチエイジング効果で従来から注目されています。
体を錆びさせない抗酸化作用、メラニンの生成抑制、コラーゲン産生促進、しみ・しわの改善、紫外線による皮膚の老化(光老化)予防・改善など健康と美容には欠かせないビタミンです。
代表的な食材
アセロラ、青汁、パセリ、グアバ、ピーマン、キャベツ、レモンなど
💡ワンポイント
ビタミンCは、熱に弱いので調理方法に工夫が必要です。水にも溶けやすいので、茹でるよりも、蒸したり、レンジを活用するとビタミンCが失われる量を減らすことができます。
まとめ
「薄毛の改善」や「ツヤ・コシのあるフサフサな髪の毛を維持」するために必要な食べ物について、「髪の毛の構造」と「必要な栄養素」の観点から解説しました。
- 髪の毛の主成分は、ケラチンタンパク質
- 髪の毛は、血液から栄養素を吸収
- 血液は、食べた物で作られる
- 血液を届けやすくするために血流を良くすることも大切
- 気をつけて取りたい栄養素は、タンパク質/ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC/亜鉛、鉄
髪の毛も体の一部ですので、体全体が健康になるように、「バランスの良い食事・睡眠・適度な運動」を心掛けることが大切です。
何事もすべてを完璧にしようとするとストレスになってしまいがちです。ストレスは髪の毛にも悪い影響を与えるので、今回ご紹介した食材も無理のない範囲で少しずつ取り入れてみてください。
<参考>
ビタミン | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
食品成分データベース (mext.go.jp)
厚生労働省eJIM | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト (ncgg.go.jp)
No.9【認知症予防】良質なたんぱく質とは? | 国立長寿医療研究センター (ncgg.go.jp)