薄毛・脱毛

毛髪の基礎知識

薄毛・脱毛の基礎知識

薄毛・脱毛などについて詳しくお知りになりたい場合にお読みください。

目次

  1. ヘアサイクル
  2. 脱毛の種類と原因
  3. 一般的な治療方法
    女性の脱毛に対する治療薬
     ●スピロノラクトン
     ●パントガール

    産後の脱毛はなぜ起きるのか

    男性型脱毛症(AGA)の仕組み

    男性型脱毛症(AGA)の治療薬
     ●フィナステリド
     ●デュタステリド

    ⑤ミノキシジル
     ●降圧剤の仕組み
     ●高血圧と塩分
  4. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

 

ヘアサイクル(毛周期)

毛髪には、寿命があります。
1本あたりの寿命(ヘアサイクル)は、5年前後と言われています。
このヘアサイクルが乱れると毛髪が十分に成長することができず、毛髪がやせたり、脱毛につながります。

成長期:5~6年 皮下組織から栄養を取りこんで毛が伸びて太くなります。

退行期:2~3週間 成長が止まり、毛根が上に押し上げられます。

休止期:2~3ヶ月 毛髪が2~3ヵ月かけて自然に抜け落ちます。

自然な脱毛は、1日に40~100本です。

異常な脱毛

ストレス、薬の副作用、栄養不良、加齢、ホルモン異常などによって毛周期が乱れて毛髪が十分に成長することが出来ないまま脱毛します。

 

脱毛症の種類と原因

脱毛の原因は、女性と男性で一部異なります。

女性型脱毛症の原因

  • 女性ホルモンの減少(産後・閉経)
  • ダイエット
  • 冷え性・低体温
  • 過剰な洗髪
  • 髪のからまりによる抜け毛
  • きつく縛る(ポニーテールなど)
  • ストレス
  • 自律神経の乱れ
  • 血行不良
  • 加齢

特徴
部分的ではなく、全体的に薄くなる
女性ホルモンの減少(閉経など)や乱れが関係している
●40代以降に発症

問題点
男性型脱毛と異なり、原因は広範囲かつ複雑
で解明されていない

男性型脱毛症
(AGA)の原因

  • 男性ホルモン
  • 遺伝
  • 頭皮の汚れ
  • ストレス
  • 血行不良
  • 加齢

特徴
●額の生え際、頭頂部など局所から脱毛が進行する
男性ホルモンが発毛機能を低下
●若年性脱毛症(15~25才くらい)も増えている
●遺伝的要素が強いと言われる
●毛周期短縮 ➡ 軟毛化 ➡ 脱毛部の頭皮がかたくなる

問題点
AGAは、進行型の脱毛症で1度発症すれば、抜け毛の進行を抑制するフィナステリド等を服用し続ける必要があるが、このことが十分に理解されていない

円形脱毛症の原因

  • 毛包組織に対する自己免疫の過剰反応などにより脱毛

特徴
●男女関係なく発症
●女性に多い
●25才以下の若い人に多い
●アトピー性皮膚炎と関係性が高いと言われる
●遺伝的要素と関係性が高いと言われる
●精神的ストレスが関与している可能性がある(解明されていない)

問題点
エビデンスのある治療法が少ない。
保険診療で認可されている薬では、治療効果を実感できない場合もある
(そのため)不確かなネット情報が氾濫している

 

一般的な治療方法

薄毛治療の考え方は、とてもシンプルです。

  • 抜け毛を抑制する
    (男性)フィナステリド、デュタステリド

    (女性)基本的な治療薬はない
      スピロノラクトンを処方されることがある
  • 毛を生やす
    (男女共に)ミノキシジル外用薬

基本的に、この2つです。
考え方はシンプルですが、改善はそれほどシンプルではありません。

 

 女性の脱毛に対する治療薬 

第一選択として毛を生やす効果のあるミノキシジル外用薬が処方されます。
クリニックにより異なりますが、症状に応じて以下の薬を組み合わせて処方することが多く見られます。

【抜け毛を抑制】スピロノラクトン
【毛を生やす】ミノキシジル
【その他】パントガール

 

①スピロノラクトン

本来は、高血圧の治療薬で降圧剤です。利尿効果もあり利尿剤としても処方されています。
薄毛治療薬として国内認可されていません。

女性ホルモンには、髪の毛の成長を促し、髪の毛の成長期間を持続させる働きがあります。
女性でも少量の男性ホルモンを保有しています。
女性ホルモンが病気や加齢により減少し、相対的に男性ホルモンが多くなると、男性と同じように男性ホルモンの影響により抜け毛になることがあります。

スピロノラクトンは、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)による抜け毛の影響をブロックする効能があるため、フィナステリドのように抜け毛の進行を抑える効果を期待できます。

スピロノラクトンに毛を生やす効果はありません。

スピロノラクトンの主な作用機序は以下の通りです。

  • 男性ホルモンの影響を抑制
  • ホルモンバランスが整う
  • 毛髪サイクルが正常化
  • 毛量回復

  

②パントガール

パントガールの成分は、パントテン酸カルシウム、シスチン、ケラチンなどで、サプリメント(栄養補助食品)に近いものです。
爪の主成分がケラチンというタンパク質であるため、パントガールを服用すると爪が硬くなります。
薄毛治療薬として国内認可されていません。

●パントテン酸カルシウム:水溶性ビタミン(以前は、ビタミンB5と呼ばれていました)
●シスチン:アミノ酸(タンパク質)
●ケラチン:タンパク質

 

フィナステリドやデュタステリドは、男子の胎児の生殖器官等に悪影響があるため、妊婦または妊娠を希望される女性への使用は禁止されています。

閉経後に、

  • 妊娠の可能性がない
  • 女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンが増加した

このような場合、一部のクリニックでフィナステリドなどを処方することもあります。医師とよく相談の上服用してください。

 

先ずは、皮膚科を受診して特有の病気※ が原因で薄毛になっていないかを確認することをお勧めします。

※特有の病気:膠原病、慢性甲状腺炎などが原因の薄毛は、原因となる特有の病気の治療をする必要があります。
特有の病気以外にも、過度なダイエットや貧血など薄毛の原因が特定できる場合、その原因がなくなれば薄毛も自然と改善することが多いです。

 

産後の脱毛はなぜ起きるのか?

妊娠中は、女性ホルモンであるエストロゲンが多く分泌されます。
エストロゲンには、以下の働きがあります。

  • 髪の毛の成長を促進
  • 髪の毛の成長期間を維持

妊娠中は、本来は、成長期を終えて抜けるはずだった髪の毛が、エストロゲンの働きにより抜けずに留まります。

産後は、エストロゲンの分泌量が正常量に戻るため、毛髪サイクルも正常に戻ります。

すると、「本来はもっと早くに抜ける髪の毛」と「正常なタイミングで抜ける髪の毛」が、同時タイミングで抜けるため、抜け毛が急に増えたと感じることになります。

「産後のストレスが抜け毛の原因」と思われていますが、実際は、エストロゲンなど女性ホルモンの分泌量の変化によって一時的に抜け毛になっているケースが多いのです。
産後の一時的な抜け毛は、半年から1年で自然に回復することが多いので慌てないことが大切です。
どうしても不安な場合は、産婦人科や皮膚科で相談してみてください。

 

産後の抜け毛対策

  • 栄養バランスの良い食事
  • 睡眠(ノンカフェインハーブティー、白湯など就寝前30~1時間前に飲むのもお勧めです)
  • 短い時間でもベッドで寝る
  • 悩み過ぎない 抜け毛は治ります ゆったりした気持ちで
  • 不安をため込みそうな場合は、早目に産婦人科・皮膚科へ

 

男性型脱毛症(AGA)の仕組み

 

テストステロン(男性ホルモン)

    ✚

5αリダクターゼ(還元酵素)

    

ジヒドロテストステロン=DHT(男性ホルモン)

テストステロンが5αリダクターゼと結合することによって、さらに活性の高いジヒドロテストステロンに変換されます。

ジヒドロテストステロン

    ✚

アンドロゲン受容体(毛母細胞にある)

    ⇩

TGF-β1 と FGF-5(髪の毛の成長を抑制・停止する物質)

ジヒドロテストステロンは、毛母細胞にあるアンドロゲン受容体と結合して髪の毛の成長を抑制・停止させるTGF-β1やFGF-5などの因子を発生させます。

 

 男性型脱毛症(AGA)の治療薬 

【抜け毛を抑制】フィナステリド、デュタステリド
【毛を生やす】ミノキシジル

男性の脱毛の原因は、「遺伝と男性ホルモン」が大きく関与していることが分かっています。
男性ホルモンは、ヒゲ、胸毛などの毛を濃くしますが、前頭部や頭頂部では反対に軟毛化の方向に作用します。

 

①フィナステリド、デュタステリド

 男性型脱毛(AGA)の仕組みは、テストステロンから始まり、さまざまな結合を経て、最終的に髪の毛の成長を抑制・停止する指示を出すTGF-β1やFGF-5へと変化していきます。

フィナステリド・デュタステリドは、5αリダクターゼの働きを阻害することでジヒドロテストステロンに変化させないようにする

ことでヘアサイクルを正常化して薄毛、脱毛を改善する薬です。

※スピロノラクトンは、ジヒドロテストステロンが毛包と結合するのを防ぐこてで抜け毛を予防します。

AGAは、多くの場合前頭部から薄毛が始まり頭頂部へと進行していくので、先ずはフィナステリドが処方されます。

デュタステリドの方が、フィナステリドよりも効果が高く、また効果のおよぶ範囲も広いのですが、その反面副作用も強く出ると言われています。

5αリダクターゼには、2つの型があり、存在する場所に特徴があります。
(Ⅰ型)前頭部・頭頂部、側頭部・後頭部
(Ⅱ型)前頭部・頭頂部

治療薬 治療効果のある還元酵素の型 還元酵素が分布する部位
フィナステリド 5αリダクターゼ Ⅱ型 前頭部・頭頂部
デュタステリド 5αリダクターゼ Ⅰ型+Ⅱ型 側頭部・後頭部、 前頭部・頭頂部、 全身の皮脂腺

  

副作用

フィナステリドおよびデュタステリドの主な副作用は、射精障害、性欲減退、勃起不全、精液量減少、抑うつ症状、倦怠感、肝機能障害などです。
副作用の頻度は、デュタステリドの方がフィナステリドよりもやや多いと言われています。

 

フィナステリド、デュタステリドには、毛を生やす効果はありません。

男性型脱毛症(AGA)は進行性の脱毛症であり、フィナステリド、デュタステリドの服用を中止すれば、再び抜け毛が始まります。

 AGAは、進行性の脱毛症であり、一度発症すれば、ほぼ一生完治することはないと言われています。

 

ミノキシジル

日本皮膚科学会発表の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において「毛を生やす」治療薬・治療方法として強く推薦されているのは、男性型、女性型ともに「ミノキシジル外用薬」のみです。

ミノキシジルには、抜け毛を抑制する効果はありません。

ミノキシジルは、高血圧を下げる降圧剤の成分ですが、内服した場合の副作用の1つに全身の多毛症があります。その副作用を利用して薄毛治療薬として開発されました。

  

塗るタイミング

1日2回(朝と夜)塗布します。入浴やシャワーの後がお勧めです。

ミノキシジル外用薬は、頭皮に直接塗布して薬液を浸透させることにより、「血流改善 や 毛母細胞(毛根)活性化」を図ります。

頭皮環境が悪い(頭皮が硬い、不潔、脂性など)場合は、外用薬が頭皮下に浸透しづらくなり十分な効果が得られません。
お風呂上りなど頭皮が清潔で柔らかい状態の時に塗布することで薬液の浸透度が上がります。

なお、日本においてミノキシジルは脱毛症の内服薬として認可されていません。
ただし、医師の処方があれば、内服が可能であり、実際多くのクリニック等で処方されています。
  

内服薬は、外用薬よりも効果が高い反面、副作用も出やすくなります。

例えば、女性は、体毛だけでなく、顔の産毛や眉毛が増えてしまい、脱毛を希望する場合もありますので、特に注意が必要です。

  

副作用

初期脱毛、血圧低下による立ちくらみやめまい(内服薬の場合)、動悸や息切れ、多毛症(特に、内服薬の場合)、かゆみ、かぶれ

 

副作用が出た場合

慌てて自己判断で服用を中止せずに医師に相談することをお勧めします。薬によって通常よりも多くの栄養が髪の毛に与えられていたものが、突然服用を中止することによって、一時的に栄養不良となり、薬を服用する前よりも薄毛になってしまうこともありますので、医師の指導のもと、断薬は段階的に徐々に行ってください。

 

降圧剤の仕組み

血管を拡張することで血液の流れを良くして血圧を下げる効果があります。
例えば、水道の水の勢いはそのままに蛇口に取り付けたホースの先をつまむと(=ホースの内径を小さくすると)ホースから出る水の勢いが強くなります。これが水圧が強い(高圧)状態です。血管はホース、水は血液と考えると、水=血液の量は変わらないので、ホース=血管の内径を広げれば、血圧が下がることになります。

    

高血圧と塩分

高血圧の人は塩分を控えましょうと良く言われますが、それは、体の恒常性維持の仕組みから説明できます。
体内は、外的環境等によらず常に一定であろうとする仕組みがあります(恒常性)。
外が寒くても、暑くても、体温が常に一定であるように、血液濃度も一定であろうとします。血液中の塩分濃度が高くなると、血管内に多くの水分を取り込み塩分濃度を薄くしようとします。ホース=血管の内径は変わらず、水=血液が増えた状態です。血液が血管を押す力が強くなります。つまり、血圧が高くなります。高血圧の人は、塩分の取りすぎに気を付けてください。

 

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

2016年2月までに収集可能な文献に基づきまとめられています。前回が初版で2010年に発表されていますので、わずか6年あまりで改訂されたことになります。医学の進歩は著しいので、新たに有効な治療法が発見されている可能性は否定しませんが、現時点(2022年6月)では、本ガイドラインが最も信頼性の高いものです。

以下に本ガイドラインの治療方法に対する推奨度(5段階評価)を抜粋して掲載します。医療機関等に行かれる際に参考にしてください。

 

質問内容  女性型脱毛症  男性型脱毛症
フィナステリドの 内服 は有用か?  D   A 
デュタステリドの 内服 は有用か?  D   A 
ミノキシジルの 外用 は有用か?  A   A 
自毛植毛術は有用か?  C1   B 
人工植毛術は有用か?  D   D 
LEDおよび低出力 レーザー照射は有用か?  B   B 
アデノシンの外用は有用か? C1  B 
カルプロニウム塩化物の外用は有用か?  C1   C1 
t-フラバノンの外用は有用か?  C1   C1 
サイトプリンおよびペンタデカンの外用は有用か?  C1   C1 
ケトコナゾールの外用は有用か?  C1   C1 
かつらの着用は有用か?  C1   C1 
ピマトプロストおよびタラノプロストの外用は有用か?  C2   C2 
成長因子導入および細胞移植法は有用か?  C2   C2 
ミノキシジルの 内服 は有用か?  D   D 

※日本皮膚科学会ガイドラインより一部抜粋
 A :行うよう強く勧める
 B :行うよう勧める
 C1 :行ってもよい
 C2 :行わないほうがよい
 D :行うべきではない

 

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