薄毛・脱毛

お酒を飲むと薄毛になるの?

当院(鍼灸院 Revive)の患者様から多く寄せられる質問の中から、同じような疑問や質問をお持ちの方の参考になればと記事を投稿しています。

薄毛治療の患者様から
「治療後にお酒を飲んでもいいですか?」
「お酒を飲むと薄毛が進みますか?」
「どれくらいなら飲んでもいいですか?」
「お酒を飲むと治療効果に影響ありますか?」
という飲酒についての質問を多く受けます。

そこで、今回は、「薄毛とアルコールの関係」について解説しています。

目次

 

お酒を飲むと薄毛になるってホント?

最初に結論を申し上げますと、飲酒が薄毛になる直接の原因にはなりません。
しかし、飲み過ぎてしまうと体の健康はもちろん、髪の毛にもさまざまなマイナスの影響が生じます。


アルコールの分解の仕組み

お酒を飲み過ぎると薄毛・抜け毛になる危険性はあります。
まずは、お酒に含まれるアルコールがどのように分解・代謝されていくか、その仕組みを解説します。

アルコールは、胃で20%と小腸で80%ほど吸収されます。その後、血管に取り込まれて全身に流れていきます。
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血液に取り込まれたアルコールは、肝臓の中でアセトアルデヒドという物質に分解されます。アセトアルデヒドは、発がん性もあり毒性が強い物質です。
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アセトアルデヒドのままでは体に有害なので、毒性のない酢酸(さくさん)という物質にさらに変換されます。
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酢酸は、血液によって全身に運ばれて最終的に二酸化炭素(呼気-肺)と水(尿・汗)となって体の外に排出されます。

顔が赤くなる人はお酒が弱いの?

お酒をたくさん飲むと気持ち悪くなったり、吐き気がしたりするのは、飲酒によりアセトアルデヒドがたくさん作られるからです。
飲酒によりアセトアルデヒドが血液中に急に増えるため顔が赤くなります。

お酒が弱いタイプの人は、アセトアルデヒドの分解能力が低いため顔が赤くなりやすいのです。

飲酒がもたらす髪の毛への悪影響

お酒を飲む理由は、1日の締めとして、味が好きだから、気持ちよく眠れるために、日中のストレスを洗い流すため、なんとなく習慣だからなどさまざまです。
適量のお酒を飲むと気持ちが明るくなったり、コミュニケーションが円滑になったり、ストレス解消になったりと生活する上でプラス面もあるのは事実ですが、飲み過ぎたり、飲むタイミングが悪いと生活の質を下げることにつながるので注意が必要です。

アミノ酸が不足

肝臓は、アルコールを分解・代謝する以外にも、髪の毛の成分となるタンパク質を合成しています。

髪の毛は、80~90%がタンパク質でできていますので、タンパク質が不足すると髪の毛が十分に育つことができず、軟毛になったり抜け毛になったりします。

お酒を飲み過ぎると
〇肝臓がアルコールの分解・代謝で忙しくなり、タンパク質の合成が不十分になる。
〇アルコールの分解にアミノ酸(タンパク質)が使用されるので、タンパク質が不足して髪の毛に十分なタンパク質を運べなくなる。

結果として、髪の毛が育ちづらくなります。

糖質の摂り過ぎによる血行不良

お酒を飲むと味の濃い食べ物やおつまみをついつい食べたくなりますよね。お酒を提供するお店では、お酒をたくさん飲んでもらうために意識的に味付けを濃くしたりしています。
糖質と塩分を多く摂ると喉が渇き、結果さらにお酒を飲むという悪循環にはまりがちです。

お酒の種類によっても糖質が含まれる量は異なります。
〇糖質の多いお酒
梅酒、紹興酒、日本酒、ワイン、ビールなど。

〇糖質の少ないお酒
ウイスキー、ブランデー、焼酎、ジン、テキーラ、泡盛など。

せっかく糖質が少ないお酒を選んでも、甘いジュースなどで割って飲むと糖質が増えますので、水、お湯、炭酸水、お茶などで割るなど工夫をしてみてください。

AGAの原因となるジヒドロテストステロンが増加

長期・大量の飲酒によってアセトアルデヒドの分解が追い付かなくなり、アセトアルデヒドが体内に残ることでAGA(男性型脱毛症)の原因となるジヒドロテストステロンが増えると言われています。

飲酒量の目安

適量のお酒は、性別、体重、体質などによっても異なりますが、厚生労働省が推進する国民健康運動「健康日本21」では、1日の平均純アルコール量約20gを適量としています。
女性は、アルコールの分解速度がやや遅いと言われていますので、男性の半分程度の純アルコール量(10g)が推奨されています。

酒類別純アルコール量20g
ビール、アルコール度数5度、中瓶1本、500ml
日本酒、15度、1合、180ml
焼酎、25度、0.6合、110ml
ウイスキー、43度、ダブル1杯、60ml
ワイン、14度、1/4本、180ml
缶チューハイ、5度、ロング缶1本、500ml

睡眠不足で髪の毛が育たない

お酒を飲むと眠りにつきやすいからと、寝る直前の寝酒を習慣としていると睡眠の質が悪くなってしまいます。

睡眠時間が不足していたり眠りが浅いなど睡眠の質が悪い場合、薄毛・抜け毛の原因となります。

アルコールの分解により生成されるアセトアルデヒドには、利尿作用や覚醒作用があるため眠りが浅くなります。

体や髪の毛などを成長・修復させる成長ホルモンは、眠りの深いノンレム睡眠の間に多く分泌されます。

ノンレム睡眠は、入眠後最初の3~4時間の間に多く発生するので、寝酒により睡眠が浅くなると成長ホルモンの恩恵を十分に受けられず、薄毛・抜け毛の原因になります。

アルコールの分解速度

分解速度 ⇒  成人で体重1kg当たり1時間に0.1g
体重60kgの成人 ⇒ 約6g
缶酎ハイ(500ml、アルコール度数5%、純アルコール量20g)のアルコールを分解するのに必要な時間は、約3時間

質の良い睡眠をとるには、入眠時にアルコールが抜けているのが望ましいので、寝る3~4時間前には飲酒を終えることを心掛けてください。

睡眠不足は、自律神経の乱れにもつながるので6~7時間程度の睡眠をとりましょう。

薄毛治療中の飲酒はOK?

ここでは、当院が専門治療として行っている鍼治療を受けている場合とAGAクリニックなどで処方されるフィナステリド・デュタステリドおよびミノキシジルを服用している場合に、お酒を飲むことが可能かについて解説しています。

鍼治療

薄毛治療の患者様からお酒に関する質問をよく受けます。

〇治療後(治療前)にお酒を飲んでもいいですか?
〇治療後何時間たてばお酒を飲んでもいいいですか?
〇お酒を飲むと治療効果に影響ありますか?

治療前は、薄毛治療を含めてすべての鍼治療においてお酒はNGです。
治療した当日は、治療後できれば3~4時間は飲酒を控えてください。その後は飲んでもかまいません。ただし、普段よりも少な目をお勧めします。

 

鍼治療の効果

〇頭皮が柔らかくなる
〇血流が改善する
〇毛根や頭皮が活性化する(創傷治癒※)
〇今生えている髪の毛が太くなりコシがでる
〇自律神経を整える
〇脳疲労を改善する・リラックス効果
〇薄毛部分をピンポイントで改善できる

※創傷治癒

ケガをするとケガをした部分を修復するために、血液(血小板・白血球など)が集まってきてケガを治します。ケガ部分の組織は、修復するためにその他の部位よりも活性化します。

鍼治療の効果の1つにこの創傷治癒という作用があります。
髪の毛と同じかそれよりも細い鍼を刺すことにより目に見えない小さな傷がつきます。その傷を治すために血液(血小板・白血球など)が集まり血流が改善し、傷とその周囲の組織が活性化します。

AGAクリニックの薄毛治療は、各クリニックでさまざまですが、最終的な治療目的は大きく2点に集約されます。

①頭皮の血流を改善する
②毛根を生き返らせる

この2つの目標を達成するために、塗り薬、飲み薬、注射、ビタミン剤などを提供しています。
上記で説明したとおり、鍼による薄毛治療は、上記2点の治療目的をみたすので、薬を使用しなくても十分に効果を上げることが可能です。

また、当院では、解剖学の知識を踏まえて電気の流れる方向を工夫した独自の通電治療を行っているので、通電治療を併用しない場合と比較して薄毛治療の結果(改善のスピード、発毛量)は良好になっています。

発毛・育毛には、血液が毛根(毛母細胞)に届かなければいけません。

元気のなくなった毛根を再生するために、せっかく鍼治療により頭皮に血液を集めたのに、肝臓でアルコール分解のために血液が消費されると、毛根に十分な血液が届かず治療効果が減殺されてしまいます。

フィナステリド・デュタステリド

男性用薄毛治療薬です。女性には使用できません。
抜け毛を抑制する薬で発毛効果はありません。
飲酒による薬の効果への影響はないと言われています。

薬の作用機序

男性ホルモン(テストステロン)が5αリダクターゼによりジヒドロテストステロンに変化して頭皮の受容体と結合することで髪の毛の成長を抑制・停止させます。
フィナステリド・デュタステリドは、5αリダクターゼの働きを阻害することでジヒドロテストステロンを生成しないようにして薄毛を予防する薬です。お酒を飲んでも、この薬の作用に影響はないと言われています。

AGAは進行性の病気です。男性は、AGAになってしまったら、抜け毛・薄毛を諦めるその日までフィナステリド(またはデュタステリド)を飲み続けなければいけません。

AGA発症後、男性が当院で薄毛治療を受ける場合

〇フィナステリド(またはデュタステリド)の服用を継続または開始することを推奨しています。
〇ミノキシジルの服用は、必要ありません。

※詳細は、医師または薬剤師にお問い合わせください。

ミノキシジル

男性にも女性にも使用できる薄毛治療薬です。
ミノキシジルには内服と外用がありますが、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において内服薬はD評定(行うべきではない)です。外用薬は、A評定(行うよう強く勧める)となっています。
発毛効果があります。

飲酒による薬の効果への影響があります。
特に内服薬は、アルコールと同時摂取は避けましょう。

薬の作用機序

ミノキシジルは、元は高血圧の薬で降圧剤です。血管拡張作用(=血圧低下作用)があります。薬の副作用で多毛の症状が発現したことから、薄毛治療薬に転用されたものです。血管が広がり血流が改善します。
アルコールも血管拡張作用がありますので、ミノキシジルを服用または塗布してお酒を飲むと血管拡張作用がいっそう強く出てしまい危険です。特に低血圧の人は注意が必要です。

※詳細は、医師または薬剤師にお問い合わせください。

まとめ

飲酒が抜け毛・薄毛の直接の原因とはなりませんが、寝酒をしたり、飲み過ぎることで髪の毛の栄養分が不足したり、頭皮環境の悪化を招き、抜け毛・薄毛となることは十分考えられます。
髪の毛と体の健康を守るために、お酒は適量を心掛けて楽しんでください。

<参考>
アルコールと循環器疾患-厚生労働省
お酒に強い・弱いとはどういうことなのでしょうかーアサヒビール
健康日本21-厚生労働省

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