睡眠が健康にとって大切だと分かっていても、十分な睡眠時間を確保できず寝不足だったり、眠りが浅くぐっすりと眠れないと悩んでいるお話をよく聞きます。良い睡眠がとれないと、髪の毛にも悪影響があり抜け毛・薄毛の原因になります。
この記事では、薄毛や抜け毛にとって「睡眠」がいかに大切か掘り下げてみたいと思います。
「睡眠の改善」は、手軽に無料でできる薄毛・抜け毛対策です。早速取り入れて健康な髪の毛を手に入れましょう!
目次
睡眠のメカニズム
「睡眠と薄毛・抜け毛の関係」を説明する前に、睡眠のメカニズムについて理解しておきたいと思います。
人は生活する上で、起きて活動するための「覚醒」、体や脳を休めるための「睡眠」、と言う2つの状態が交互に入れ替わることで健康を維持しています。
覚醒中に疲労がたまったり、長時間起きていると「睡眠欲求」が徐々に高まっていって最終的に睡眠となります。
「覚醒」と「睡眠」が交互にリズム良く無意識に入れ替わるために、切り替えスイッチの役割をする「体内時計」を持っています。
体内時計とメラトニンの作用
体内時計
体内時計は、覚醒、睡眠、ホルモン分泌などさまざまな活動・非活動をコントロールしていますが、25時間に設定されているため、1日24時間との間に1時間のズレが生じます。
この1時間のズレは、外的刺激により調整されます。1番の刺激は光です。
朝日を浴びることで毎日リセットされて24時間リズムに修正されます。
メラトニン
メラトニンは、体内時計の働きをサポートして夜に睡眠を促進します。「睡眠ホルモン」ともよばれています。
メラトニンは、朝に光を浴びてから約15時間後に分泌されます。
メラトニンの分泌は、外で朝日を直接浴びなくても、曇りの日に窓際で光を感じる程度でも15時間のタイマーが起動します。
メラトニン分泌後1~2時間で眠くなります。
朝6時 起床
⇓ (15時間経過)
21時 メラトニン分泌
⇓ (分泌後1~2時間で眠くなる)
22~23時 就寝
⇓ (7時間睡眠)
6時 起床
メラトニンは、明るい光・スマホのブルーライトを浴びると分泌されないので、夕食後は部屋を暗くしたり間接照明の暖色系の光に切り替えましょう。
メラトニンの他の効用
メラトニンには、活性酸素の除去などの抗酸化作用があるため、病気予防やアンチエイジング効果が注目されています。
メラトニンは、感染予防を担うTリンパ球を作り出し、免疫機能を向上させます。
レム睡眠(Rapid Eye Movement)とノンレム睡眠(:Non Rapid Eye Movement)
睡眠には、
眠りが浅く体を休める「レム睡眠」と
眠りが深く脳を休める「ノンレム睡眠」とがあります。
レム睡眠とノンレム睡眠が1セット90分周期で交互に繰り返されて、1晩に3~5セット発生します。
レム睡眠
レム睡眠時は、まぶたの下で眼球が細かく速いスピードで動いています(Rapid Eye Movement)。
脳は、起きていて記憶の整理や定着をしています。
一方、体は、回復・修復するために筋肉が弛緩して休んでいます。
眠りが浅く脳は活動しているので、このときに起きるとスッキリと目覚めることができます。
ノンレム睡眠
「レム睡眠ではない」睡眠(ノンレム睡眠)です。
眼球運動はほとんどありません。
ノンレム睡眠では、脳は休んでいます。
体は、軽い緊張状態にあり体を支えています。
覚醒中のストレスの軽減・修復などが行われます。
ノンレム睡眠は、入眠後3~4時間の間に多く発生し、入眠後最初に現れるノンレム睡眠が最も眠りが深く、時間の経過と共に徐々に眠りが浅くなっていきます。そして、7~8時間後に自然と目覚めます。
体を修復・成長させる成長ホルモンなどの分泌が活発になるのは、ノンレム睡眠中です。
ノンレム睡眠 | レム睡眠 | |
眠り | 深い | 浅い |
脳 | 休んでいる | 動いている(記憶の整理・定着) |
眼球運動 | ほとんどない | 動いている |
体 | 少し緊張 | 休んでいる |
ホルモンの分泌(成長ホルモン) | ある | ない |
体温 | 低い | ノンレム睡眠よりも上昇 |
目覚め | 悪い | 良い |
夢 | ほとんど見てない・覚えてない | 見ている・覚えている |
睡眠と薄毛・抜け毛の関係
睡眠は、体や精神を休めたり修復すると共に、体の組織を成長させる大切な時間です。
髪の毛の毛母細胞は、分裂して新しく髪の毛を作り出しています。成長ホルモンが、毛母細胞の分裂を促進します。
成長ホルモンが分泌される深い眠りのノンレム睡眠は、髪の毛の成長に必要ですが、レム睡眠も同様に体にとって不可欠な睡眠です。ある程度(6~8時間)の睡眠時間を確保するように心掛けましょう。
睡眠不足による髪の毛へのダメージ
睡眠不足が原因で毛周期を狂わして薄毛・抜け毛となります。
- 睡眠不足
⇓ - 成長ホルモン分泌量減少
イライラ・ストレス増加
⇓ - 自律神経の乱れ
⇓ - 血行不良
⇓ - 頭皮や髪の毛のダメージの修復が追い付かない
良質な睡眠を手に入れる
良質な睡眠に手に入れることは、今生えている髪の毛を健康にしますし、将来、薄毛にならないための頭皮の土台作りのためにとても大切です。
薄毛・抜け毛予防に効果のある「睡眠」、しかも無料です!
できることから試して健康な髪の毛を手に入れてください。
- 決まった時間に起きて朝日を浴びる
- 朝食に卵、納豆、鶏肉、乳製品、バナナなどを食べる
- 食事は、寝る3時間前まで
- お風呂は、寝る1~2時間前まで
- スマホ・PCは、寝る1~2時間前まで
- お酒は、寝る3~4時間前まで
①決まった時間に起きて朝日を浴びる
光の刺激が、「睡眠ホルモンーメラトニン」の15時間タイマーを起動させます。
②朝食に卵、納豆、鶏肉、乳製品、バナナなどを食べる
睡眠ホルモンのメラトニンが、夜になると分泌されて眠くなります。
〇メラトニンは、脳の松果体という所でセロトニンから作られます。
〇セロトニンは、トリプトファン(必須アミノ酸)から作られます。
メラトニンは、朝光を浴びると15時間タイマーが動き出し、夜暗くなると分泌されます。
メラトニンの素となるセロトニンは、昼間作られます。
従って、セロトニンの原料となるトリプトファンは、朝食で摂るのが望ましいのです。
③食事は、寝る3時間前まで
睡眠中に食べた物を消化していると、熟睡できません。寝る時には、消化が終わっているのが理想です。
④お風呂は、寝る1~2時間前まで
入眠時に深い眠りを得るために深部体温は低下します。入浴で深部体温を一時的に上昇させると、寝る時にはその反動で深部体温が下がりやすくなります。この温度差を利用することで入眠しやすくなります。
湯温は、38~40℃(基礎体温+2~3℃)のぬるめのお湯に10~15分程度つかりましょう。
41℃以上の熱いお湯だと、体の表面は温かくなりますが、深部までは温まりにくく、入浴後冷めやすくなります。
湯温が高いと交感神経が興奮して血管を収縮させます。
38℃では寒いと感じる場合でも、40℃を上限目安として入浴しましょう。
保温・保湿・血行促進などいろいろな効果がある入浴剤があります。色や・香り・感触などその日の気分に合わせて楽しむことができるのでお勧めです。
⑤スマホ・PCは、寝る1~2時間前まで
スマホのブルーライトや蛍光灯の昼光色は、メラトニンの分泌を減らします。
スマホの使用は脳を興奮させます。脳も体も、さぁ~寝るぞ!と瞬時に睡眠モードには切り替わりません。寝る1時間前にはスマホの使用を控えましょう。
ブルーライトの軽減方法
- ブルーライトを軽減するアプリやブルーライトをカットするフィルムを貼る。
- 設定した時間にスマホ画面の照度を落とすナイトモードを設定する。
- ブルーライトをカットするメガネを購入する。
⑥お酒は、寝る3~4時間前まで
アルコールを飲む理由は、「1日の締めで、寝つきが悪いから、頑張ったご褒美に、嫌なことがあったから、なんとなく」など様々です。
お酒を適度に飲むことで気分が良くなったり、コミュニケーションがうまくできたりと良い面もありますが、飲みすぎや飲むタイミングによってはマイナス面もあります。
お酒を飲むと良く眠れると感じる方も多いと思いますが、毎日飲酒を続けているとアルコールに対する耐性ができて少しずつ酒量が増えていきがちです。
寝つきは良くなるものの、中途覚醒や明け方に目が覚める早朝覚醒などが起こるので睡眠の質は悪くなります。
これは、アルコールが分解されるとアセトアルデヒドが産生されれることによるものです。
この物質は、睡眠を妨げる作用や利尿作用があるため、睡眠の後半、アルコールの分解が進むにつれて目が覚めやすくなるのです。
〇1日のアルコール摂取量の目安は、20g
〇一般的に1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」
体重60kg × 0.1g = 6g/1時間
体重50kg × 0.1g = 5g/1時間
20gのアルコールを摂取した場合、アルコールを代謝するのに3~4時間かかります。
※体重・性別・体質などにより個人差があります。
飲料に含まれる純アルコール量の⽬安
飲料の種類 (量、アルコール度数) |
ビール (500ml、5%) |
清酒 (1合180ml、15%) |
ウイスキー,ブランデー (ダブル60ml、43%) |
焼酎 (1合180ml、25%) |
ワイン (1杯120ml、12%) |
純アルコール量 | 20g | 22g | 20g | 36g | 12g |
「健康⽇本 21(第⼆次)最終評価報告書第3章(4)飲酒」より
お酒は、適量を守り楽しいお酒を心掛けましょう。
まとめ
睡眠は、年齢にかかわらず、脳や体の修復・成長に必要です。
髪の毛を維持・成長させるためには、忙しくて十分な睡眠時間を確保できない方も、入眠後の深い眠りを得ることで成長ホルモンの分泌を増やす工夫が必要です。
できることから、少しずつでも良いので日常生活に取り入れて健康な髪の毛を手に入れてください。
髪の毛や頭皮でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
<参考>
生体リズムの乱れを調整する3要素(光、食事、メラトニン)
e-ヘルスネット-メラトニン-厚生労働省
e-ヘルスネット-眠りのメカニズム-厚生労働省
不眠-クスリになる食材あれこれ-日本成人病予防協会
健康日本21(第二次)
飲酒に関する基礎教育資料-国土交通省
適量ってどのくらい?-サントリー
健康作りのための睡眠指針2014-厚生労働省